超高解像度 Audio の世界へようこそ

.


<ご挨拶>

音や音楽に全く興味の無い方でも「ストラディバリウス」の名前は誰でも知っている。300年も前に作られたバイオリンの名器だ(製作者の名)。ストラディと比べると音量も大きく力強い音のガルネリやガダニーニもほぼ同じ時代の作だが負けず劣らず秀逸だ。この頃すでにクラシック音楽に使われる楽器は現在の楽器とほぼ同様な物が存在しオーケストラの演奏会も盛んだった。つまり、音楽文化的にはクラシックの楽器は300年超の歴史がある訳だ。でももっと古いものもある。歴史と言えば、ローマ時代(2300年前)には現代の教会オルガンの原型「水力オルガン」(hydraulis)が発明されているし、4500年も前、エジプトのピラミッド時代には七弦琴やフルート、トランペット、ハープ、リュート、シストラム、シンバルなど多彩な楽器が奏でられ、現物もいくつか出土している。今のところ人類最古の楽器はドイツで発見され約3万5000年前(石器時代)に作られた5穴のフルートだそうだ。

さて、そんなにも長い音楽や芸術の歴史と比べると「オーディオ」の歴史はケタ違いに短い。エジソンが蝋管式の蓄音機を発明したのは今から133年前の1877年、電気的に録音を出来るようになったのが70〜80年前、ステレオレコードが実用化されて53年、CDが出来て僅か28年しかたっていない。つまり、「オーディオ」の歴史はビンテージの機材を入れてもたかだか70〜80年、「オーディオマニア」が登場してレコード針をとっかえひっかえ、あるいは大型のスピーカーがどうこう論議したり、「HIFI 」を論ずるようになってたかだか50年と言う訳だ。

このページは 「超高解像度 Audio 」を謳っているが前述のたかだか50年の中のさらに後半、2000年以降、24bit/96Kが登場したり、24bit/192Kが普通に知られる様になった昨今、特にここ2〜3年でやっと普通に市販されるようになった1bit/5.6MHzの録音再生機の驚異的な解像度に魅せられたレコーディングエンジニアmu-murakamiがスタートさせた新レーベル「Hyper Resolution」のページだ。

何が 「超高解像度 」なのかと言うと時間的解像度だ。アナログは時間軸的には連続的な記録だがテープにせよDISCにせよ回転系のワウフラッターが存在する。このゆったりしたあいまいさが良いという御仁もいるが、原音に忠実かどうかだと秀逸なデジタルに軍配が上がると思う。

最も一般的なメディア CDはサンプリングレートが44.1KHz、つまり4万4千100分の1秒毎にその音量をデジタルデータとして記録している。24bit/96Kというのは9万6千分の1秒毎にその音量をデジタルデータとして記録していてその大きさを表す解像度は2の24乗の数字で表原可能という意味。人間の耳は間違いなくそれ以上の分解能があるが、実際のところどのくらいの分解能を持っているのかはまだ明らかではない。

一般に普及したフォーマットではないがソニーとフィリップスが開発したSACDフォーマットはなんとCDの64倍、280万分の1秒毎にデジタルデータを作る。ただしその大きさを表す解像度は2の24乗ではなく、0か1の2値、つまり1bitだ。時間軸上の解像度はCDとは比べ物にならない。従来のPulse Code Modulation(PCM)方式とは全く異なる音声信号の大小を1ビットのデジタルパルスの密度(濃淡)で表現する方式だがサンプリング周波数が充分高ければたとえ1bitであっても従来以上のダイナミックレンジを表現出来る。記録容量がすごく増えてしまうのが欠点と言えば欠点でSuper Audio CDのHD(Hi Density)レイヤーはCDの約7倍の4.7GBの容量を食う。今僕が使っているレコーダーはそのHDレイヤーの倍、5万6千分の1秒の超解像度。研究段階の試作品を使う事も多々あるがそっちはさらに倍の11万2千分の1秒という超高速サンプリングだ。こういった機器を使用すると記録容量は食う物の僅かな空気の動きも体感する事が出来る。経験30年のレコーディングエンジニアとしては「こんな良いのにみんな聴いてよ」という感じ。

昨今のmp3に慣れた若者の「え?mp3の方がシャキっとしてていい音じゃん!」という意見に敢て対抗するのが「Hyper Resolution」という訳だ。今後、賛同してくれるミュージシャンを探して秀逸な演奏を記録、リリースしていきたい!!パンチイン無しで秀逸な演奏を記録したいというミュージシャンの皆様にあってはぜひ連絡を欲しい!!

余談だが、航空機は1903年のライト兄弟がスタート、ジャンボジェットの初就航は世界初のPCM録音がなされたのと同じ1970年だ。自動車だと1870年に世界初のガソリン車が誕生し1907年には伝説のT型フォード(初の量産車)が登場、おおむね1920年代から本格的普及が始まった。スポーツカーの代表格ポルシェ911の発売は1963年。

スプートニクが始めて周回軌道に乗ったのがステレオレコードが実用化されたのと同じ1957年、アポロ11号が始めて月に着陸したのが始めてデジタル録音が登場した1969年だからオーディオの歴史と宇宙開発の歴史の浅さは似たような状況とも言える。来年は今年と違う常識が通用するかもという毎年の進化が楽しみな世界。ぜひ一緒に楽しもうではないか!!

 



News : Hyper-Resolution レーベルの第4弾 SACDとSuper PremiumなAudio File の2枚組7月20日発売予定!!